2020年1月1日水曜日

109_新年とかなんとか


あけましておめでとうございます。
昨年は友人の結婚式でフラッシュモブダンスのスタートで踊り始める人(「こいつ何してんの?」と思われるやつ)をやったのが主な業務内容です。恥の総量を逓減するための予防的統制として、プロのダンサーに個人レッスンお願いしました。

現況報告として、本日202011日から、某fintechスタートアップでジェネラルカウンセルとして働くこととなりました。
同スタートアップは昨年の3月から業務委託の形で手伝っていたので、「①弁護士業務、②監査法人、③スタートアップ企業」という業務内容は変わらないのですが、徐々に③の比重が大きくなったため、実態は変わらずに契約形態(と肩書)に反映させたという感じです。

なので、せっかくなのでスタートアップにて約3/4年働いた時点での感想をいくつか。
業務範囲の広さについて
業務全般に関する感想としては、とにも業務範囲が想像以上に広い(法務に限定されない)です。
メイン業務は法務ですが、例えば外部から「犯収法/個人情報保護法対策を強化して欲しい」と言われた場合には、法律をクリアしさえすればいいものではなく、いかに現実のオペレーションに負担をかけずにリスクを抑えられるかが求められますし、資金調達スキームを検討するには会計上のインパクトを検討しなければならないので、監査法人と色々やりとりしたりしています。
また、経営戦略上のリスク(アップサイド/ダウンサイド)をいち早く認識し共有することや、新しく規制が入りそうであるならば働きかけを行ったり(パブリックアフェアーズ)情報を共有することも重要です。
加えて、コーポレート部門の一員として、人事含め様々な制度設計、イベント、業務配分等の検討も行う必要がありますし、会社の一員として一般的な他社とのコミュニケーションなり人材集め等にも関わります。
要は、(自分のキャリアに起因するところもありますが)自分が想定していたよりも「法務」という機能は画一的なものではなく「経理、総務、財務、人事、労務、リスク管理、管理統括、パブリックアフェアーズ、IPO準備、内部監査」等々との垣根はほとんどなく、手を出そうと思えばいくらでも手をだせるというのが、当初抱いていた期待を良い意味で超えてきた点です。
特にリスク管理(と内部監査)は、「会社全体を詳しく理解していること」と「(専門的知見がなければ認識できないものも含めて)リスクを認識/評価/対応すること」の両方が求められるので、専門知識、ビジネス理解、交渉等のソフトスキルのみならず、他部署の人と密にコミュニケーションを取ること等も含めて、いくら勉強してもしたりない気がします。内外における交渉は、まさに「全人格的説得」という要素もあります。

法務全般についてのいくつかの感想
法務に関して、弁護士業務と異なる点は細かく挙げるとたくさんありますね。
第一に挙げたいのは、「自分で法的問題を発見しなければならない」点です。
ビジネススキームや契約書上の問題点はもとより、機関設計、資金調達、各種提携、人事、広告、情報管理、福利厚生等々、あらゆるところで法的(加えて会計、税務、広く経営管理上。以下略)リスクが生じうるので、それらをいち早く認識することが求められます。
第二に、問題点を指摘するだけでは終わらない点です。
「法的にリスクがあります」で終われば苦労はなく、「いかに実際のオペレーションに併せて法的リスクを軽減するか」なり「相手方を説得するか」なりが求められます。
前者では普段からのオペレーション側とのコミュニケーション、後者は普段からのコミュニケーションと肩書が重要です。なんだかんだ資格は強い。
第三には、やはりボッチ法務の責任の重みでしょうか。
下手に法的解釈で間違ったことを言うと大変なことになります。しちゃいけないことをできると言ったり、すべき手続を抜かしていたり。強い外部顧問弁護士がいるので難しいところは質問しますが、何でも質問するわけにもいかず、そもそもリスクを認識する必要があります。なので、必死に勉強します。
その他の点でいうと、よく「インハウスは契約書レビューばっか」というのがありますが、あまりないですね。定型的な契約は雛形を使いますし、規模が小さいと非定型的な契約はそんなにないです。
他方で「事業会社が弁護士に見せる契約書はごく一部」というのはそうですね。まあ、自分が入ってるからというのもありますが、どうしても弁護士は費用がかかるという認識があるので、リスクと勘案して弁護士にチェックしてもらうかを決めてると思います。
あとは「法務はキャリアプランが見えない」というのもよく聞きますが、法務のキャリアプランで鍵となるのは、上述したところでいうと「会社全体を詳しく理解していること」と「法律以外のリスクを認識/評価/対応すること」点かなと思います。この2つができれば、GCのみならずCRO(リスク)や管理部長的なCOOとして重宝されると思いますし、資金調達もできればCFOもいけて、文字通りのNo.2になれると思います。
 
「コミットメントシフト」について
上述のとおり、今は3つの仕事を兼業しつつ、軸足をスタートアップ企業に移しているという感じです。これについて「転職」と違い職を転じてはおらず、他方で重点は動かしているので単なる「副業」なり「N足のわらじ」とも違うなと思っていたのですが、最近、「コミットメントシフト」というちょうどいい言葉を教えてもらいました。
>「転職」が無くなる時。“コミットメント・シフト”の時代。 古屋星斗
自分の周りの専門職の人がスタートアップにジョインするのも、「前職を辞めて...」というより、このコミットメントシフト型が多い印象です。専門職はコミットメントシフトしやすいのでオススメです。

その他、仕事量等について
今のぼっち法務(しかも兼業)は責任が重く、勉強量も業務量も相応にあります。まあ、スタートアップなんて、内部的にも外部的にも、仕事も勉強事項も大量にあります(特に内部的には(法的リスク含め)リスクマネジメントと仕組みづくり、外部的には規制関連)。
なので激務しようと思えばできてしまいますし、しないとリアルに会社がなくなるという危機感があります(スタートアップはほんとびっくりするぐらいすぐに消えてしまいます。即独した弁護士みたいな)。
まあ、一般論として、同じ激務でも、つまらない業務を孤独にするのと、楽しくできるのとでは、成長速度もストレスも段違いだと思います。「激務するにしても、ここでするのか?」というのは、常に問いかけたほうが良いです。報われるもあれば、報われない激務もあると思います。一般論として。
今のスタートアップの仕事は、業務面と人的面から言って、とても楽しくストレスフリーで勉強にもなり、キャリア形成なりSOなり考えると待遇面でもとても良いと思います(待遇等々色々聞きたい人は直接会えばお話します)。

このブログについて
またちょっとブログ記事を書こうかなと思ってます。この記事を書いてて思いましが、アウトプットすると色々整理されて良いですね。
何を書くかはあまり決まってないですが、ブログタイトルに反しない範囲ということで、スタートアップにおける業務、規制関連、読んだ本、旅行(レバノン行きたい)等。

ではでは